「彼女がメンヘラばかり」というあなたは毒親育ちかも。男性向け生存戦略の手引き
こんにちは、トイアンナです。スーザン・フォワード『毒になる親』が発売されて以来、「虐待さえ加えていなければ、いい親だ」認識は崩れました。過保護で何も人生の決定権を与えてくれない親、逆に子供のすべてを頭ごなしに否定することしかできない親など、子供にとって”毒になる親”がいることが明らかになったのです。日本では通称「毒親」として知られています。
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男性の毒親育ちは、「自分もそうだ」と気づきにくい
一方、「毒親にまつわる問題」は「女性とその母親」について語られることがほとんどでした。当事者が「私の親って、毒親かもしれない」と語るのは女性が圧倒的に多いのです。私が毒親のもとで育った方が自尊心を育てるための本『恋愛障害』を執筆した際も、ご連絡をくださったのは女性ばかりでした。
では、毒親は女性特有の問題かというと、まったくそんなことはありません。男性にも毒親の元育ち、苦しんでいる方は多くいます。むしろ精神科医側の事例研究では男性の方が多く登場するくらいです。けれど男性は「自分が今苦しいのは毒親育ちだからかもしれない」という仮説へたどり着くまでの道のりが、果てしなく遠いのです。
毒親の影響を認めないために、同じ境遇の他人も否定したくなる
そもそも、男性は「自分の親が毒親かもしれない」と疑うことすら恐れる傾向にあります。それは男性の方が「親子の悩みなんて、外に出すものじゃない」と思いがちだからです。
<男性が「毒親育ちで苦しむ自分」を否定するロジック>
・確かに自分は愛情のない家庭に育った、だが世間的に見たらよくあることだ
・こんな家庭は一族の恥だから、外で話してはいけない
・親を軽蔑しているが、俺は親と違う人生を歩けるから関係ない
・いい年して親子関係でウジウジ悩んでいるなんて思われなくない
こういった「もしかして自分の親は毒親で、しかも自分が苦しいのはそのせいかもしれない」という仮説を抑圧する思考は男性に強く現れます。ですが抑圧したところで不安は消えません。そこで男性は、他人へ抑圧した感情をぶつけることで解消しようとします。
他人へ感情をぶつけるやり方は2つ。一つ目は「似た境遇の他人のつらさをも否定することで、自分のつらさも一緒に否定する」ことです。
ですから「実は毒親のもとで育っていて、その影響がある自分を認めたくない男性」ほど、他人の毒親問題に関心を持ちます。そして「お前の苦労なんて大したことない。世間ではもっと大変な家庭がたくさんあるじゃないか」「虐待されていたわけでもないのに、いい年して毒親毒親って、恥ずかしくないのかね」といった言葉をぶつけたくなるのです。
「非・毒親育ちの人」の人は、毒親問題に対してフラットです。他人の不幸話というのは「ふ~ん、大変だね。でも今は元気でいられてよかったね」で終わるものです。あなたが毒親で育った方を否定したい気持ちを抱くなら、あなたこそ親子関係を振り返る時期に差し掛かっているのです。
「彼女がメンヘラばかり」という方は、毒親育ちも多い
二つ目のぶつけ方が「付き合っている彼女がことごとくメンヘラになってしまう」という相談です。男性にとって自分がメンヘラかもしれない or 毒親の影響があるかもしれない、と相談するのは気が重いのですが「彼女がメンヘラばかり」ネタなら他人へ相談しやすいからです。
現に、私はこの手の相談を「タクシーに乗っていたら運転手さんが語り始めた」「賃貸を探していたら不動産屋さんが……」などのきっかけで伺っています。しかしこういったご相談へ「もしかして、さみしさや苦しさは、彼女さんだけじゃなくあなたの中にもあるんじゃないですか」と質問すると……書いたって信じてもらえないであろう家庭環境の話がゾロゾロ男性の口から語られるのです。
こうして最初は「メンヘラじゃない彼女が欲しい」という相談だったはずが、真の原因は毒親からの苦しさだと分かり「自分の毒親と絶縁するには」「親の否定を乗り越え自尊心を手に入れる方法」をお伝えしたことが何度もあります。
あなたも、毒親から逃げていい
もし当てはまることが、この文章の中に紛れていたら。「俺はそうじゃない」と思っていただいても構いません。まあちょっとだけ、幼少期の家庭環境を思い出してみませんか。そしてもしそれが「あなたにとって不快」なら、まずはそこから逃げてもいいんだと思ってください。「逃げてもいいんだ」とつぶやいて、少しでも楽になれるなら。きっとあなたにとってその親は「毒になる親」だったのです。親が悪い、いいという結論はつけなくて構いません。
「今年の年末、高熱でも出したことにして帰省サボるか」
「親孝行って、義務じゃないから家の行事の手伝いを1度やめてみよう」
まずはこの程度の行動で大丈夫。この世で一番大切なのは、あなたが楽になることです。自分をもっと好きになるために、一歩踏み出してください。もう少し知りたくなったら、下記参考文献もぜひお手に取ってみてください。
参考文献:
スーザン・フォワード『毒になる親―一生苦しむ子供』
岡田尊司『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』