なぜ彼女はオタクが集めたものを捨てたのか 経験談を訊いてきた
こんにちは、トイアンナです。「彼女にオタク趣味のコレクションを捨てられた」というエピソードは、もはや使い古されています。私も詳しいわけではありませんが、鉄道模型やフィギュアはあっという間に3ケタ万円へ到達するので、金銭的にも痛いでしょう。何より、もう2度と手に入らないものに対する悲しみは計り知れません。
その一方で、だから女はクソと片付けるのも早計な気がします。100人中100人の女性が相手の私物を勝手に捨てると考えるのは非現実的ですし、加害者の言い分を聞いてみよう。そんなわけで、彼の私物を捨てたことのある女性へ話を聞いてみました。
子供が口に入れると言っても聞かなかった
旦那さんがプラモデルオタクだったAさんの話です。
Aさん:独身のころから好きで、家中プラモだらけ。その時は全然気にしてないというか、趣味のある人って素敵だな~くらい。オタクっぽいかもしれないけど、服装はちゃんと気を使ってくれてたし。家の中で楽しんでくれるなら休日も一緒に過ごせていいかなって。
でも子供ができて、ちょっと動けるようになるじゃないですか。そうすると何でも口に入れようとするんですね。飲み込めちゃうようなヘアピンとか、床に落ちちゃってた薬とか危なくて。だから目線にある道具は全部片付けたんですけど、夫がプラモだけ片付けてくれなくて。それで1度、落ちてたパーツを口に入れちゃって。もう、もう絶対捨てる、って思ってうちの子の目線に入ったものを全部捨てました。
――捨てる以外の選択肢って思い浮かびませんでした?
Aさん:実家に送りつけるとかいろいろあったかもしれないですけど。その時は○○(お子さんの名前)が! ってなっちゃって、もうそれで一杯でした。プラモと子供の命どっちが大切なのか、今でも許せないですね。何度も片付けて、危ないからって言ったのに「やるやる」って言って行動してくれないせいでこんなことになって。その後、ちょっと別居してから仲直りしてますけど、あのときのことは許せないですね。
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ここまでお話を伺って「夫婦のどちらもが自分を被害者だと思っている」ことが一番しんどいなと感想をいだきました。捨てる方は何度も掃除しろと言ったのに相手が動いてくれなかった鬱憤が溜まっていますし、捨てられた方は趣味に理解のない鬼嫁! と思っていることでしょう。
こんな風に捨てた女性の話を聞くと「何度も掃除しろと言ってた」など、サインや警告を発していたと言います。ところが男性から聞くと「いきなり捨てられた」という話が多い。おそらく女性が発している警告を男性が受け止めておらず、いきなり極刑を食らったような理不尽さを抱いているのではないでしょうか。
女性の「警告」は日常会話にまぎれている
なぜこんな悲劇が起きるかというと、女性の警告は日常会話に紛れすぎてわかりづらいからです。
「はぁ…。そろそろこれ、何とかしてよね」
「子供が手を伸ばしたら危ないでしょ」
といった言葉、男性にとっては日常会話。けれど実は「最後通牒までのカウントダウン」だったりします。3回言ってもやらなきゃ捨てるぞ、くらいに思われている可能性・大です。
もっと「ピー、子供に生命リスクあり。これは1回目の警告です。3回目の警告までに部屋が片付かない場合、片付けを強制執行します」とシビュラシステムくらい分かりやすい表現にしてくれよ! と思うでしょう。ごもっともです。女性はなるべく喧嘩腰にならないよう会話することが多く、不満が分かりづらい。男性が悪いわけではありません。
ただ、女性が直接的なコミュニケーションをすると社会生活を送れないという擁護だけさせてください。私はストレートにものを言うタイプで、「家庭に1つ懸念があります。家事分担が不平等です。トイレ掃除か風呂掃除をしてください。さもなければ家賃の支払いを放棄します」といった直球をぶん投げます。が、この話し方が男性にモテるかというと……お察しください。
彼女とは「話し合いのスタイル」を共有しよう
そこでオススメしたいのは「話し合いのスタイル」を調整することです。「男は何度言っても片付けない」「女は趣味を理解してくれない」と切り捨てるからこそ、何度も悲劇が起きています。トラブルが起きる前に、お互い伝わる会話を心がける。
たとえば「小言っぽく要望を言われても本気か分からないから、話し合いたいことがあったら会議をしよう」というのもありでしょう。昔懐かしい「家族会議」の登場です。会議で話し合っていないことで怒るのはなしとすれば、お互い発言せざるをえません。
もしあなたが女性なら、小言っぽく伝えても伝わらないことを意識してください。「大事な話があるんだけど」くらいに前置きすることで、話し合いができるようになります。男性はエスパーじゃありませんから、いきなり相手のものを捨てる暴挙だけは避けましょう。最悪、訴えられますよ。